あすなろ撮影録

大学生の備忘録的ななにかです

〈2/27 試せ北の大地-13〉在りし日の留萌線放浪記ー峠下

こんばんは。

昨晩のうちに留萌市内に入っておきまして、いよいよ最終日となってしまった「試せ北の大地」シリーズ。この日はキハ183系と並ぶ本旅のメインとも言える、留萌本線廃線区間にあった駅をいくつか観察してみることにします。

 

前回はこちらから~

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夜明け前の留萌駅前からおはようございます。2階建ての鉄筋コンクリート駅舎だけを見ればどこぞのJR四日市駅(いや言うてる)と何ら変わらん風貌ですが、それでも廃駅になってしまうのが現実です。

繰り返しになりますが、2023年3月末を以て留萌線・石狩沼田~留萌は廃止されました。以下の文章中に登場する列車番号や情報はその当時のことを示しますので、予めご了承下さいませ。

 

キハ54形(510) 〈4920D 普通 深川〉

だだっ広い構内でエンジンをふかしながら待つのは、相も変わらずキハ54形。「三島会社」への国鉄からの最後の置き土産ということで、四国には温暖地型の0番台、北海道には寒冷地型の500番台が導入されました。

言われてみればロングラン運用が多い道北に集中しているイメージがありますね。H100形に押し出されたキハ150形に運用を奪われている印象でしたが、どうやらそうでもなさそうです(留萌線は半々くらい…?)。

 

乗り込んでみると、どこかで見たことあるようなシートが集団見合い式で並べられていました。あ、これ近鉄特急「サニーカー」こと12400系列でもお馴染みの簡易リクライニングシートやないですか。

キハ54形では長距離運用を見越して座席の交換が行われており、この車両ではキハ183系で使われていた座席を流用しているようです。他にも0系新幹線や789系からの廃車発生品を装備した車両もあるそうで、見た目に反して居住性は侮れません。

てことは逆にあの設備で特急料金をふんだくるサニーカーって一体…

 

始発便は留萌を出ると3駅連続で通過、これもまた北海道の普通列車あるあるです。20分ほど走り続けると、最初の訪問駅である峠下(とうげした)に到着しました。深川からの始発便(4921D)と行き違いましたが、線内唯一の交換可能駅だからですね。

氷点下の中でもエンジン全開で白煙を上げながら発車していく様、もうこれを直に目の当たりにしただけでも来た甲斐がありました。同業者はまさかの片手で数えられる程度の少なさ、早朝ならではの体験です。

 

峠下駅(北海道留萌市留萌村峠下)

開業:1910年 

アイヌ語由来:ルチシポク(峠の下)

乗車人員:0.4人(2021年度)

停車本数:上り7本/下り7本(2022年度)

駅前広場(?)に出て振り返ると、雪と氷柱に囲まれた木造…のように見えるけど実はパッチワークだらけな駅舎がお出迎え。入口上部のドデカいJRマークが気になります。

かつては有人駅で、現在は除雪担当の保線要員のために詰所として使われているというのも、北海道の秘境駅あるある。タブレット閉塞が廃止されるまでは駅員さんがいたので、無人駅としては「比較的」浅い経歴を持ちます。

あ、ちなみにトイレは使えますが、トイレットペーパーが無かったのは完全に落とし穴。

 

駅名から察する通り、山の中にポツンと佇んでいるので辺りは殺風景そのものです。少し歩くと国道233号に出るものの、車通りは皆無。今のメインルートは並行する深川留萌自動車道ですから、極論を言えば「寂れてしまった」雰囲気でしょうか。

沿岸バス・道北バスの「峠下分岐点」停留所は埋もれちゃってますが、公衆電話の周辺は除雪が行き届き、受話器を持ち上げるとちゃんと使える状態でした。旭川と留萌を結ぶ国道233号、その役目を高規格道路に譲った現在も「道」としての機能を全うしなければならないというプライドを感じました。

 

クマに襲われるのが先か、凍死するのが先かが怪しくなったので駅舎内に避難。立派な除雪機が鎮座しているのはともかく、かつての出札窓口が掲示板と化しているのを見ると、駅員さんがいた時代ってどんな感じだったのかと想像してしまいます。

かつては近くに小学校があり、跡地を示す記念碑や旧教員住宅が残っているそうです。そう考えるとこれだけ広い待合室も納得なんですが、通学需要だけでそうそう維持できるわけでもないのが難しい話です。

 

7時を過ぎるとようやく太陽の光が差し込んできました。千鳥式の2面2線構造で、ホームがやたら長いのは貨物取扱があった名残ですな。SLの給水塔なんかも設置されていたらしいので、やはり今も昔も拠点駅なことには変わりありません。

あ、言い忘れていましたが留萌線は「Peachひがし北海道フリーパス」の範囲外ですので、その都度普通運賃を支払いながら巡っていきます。まあ、最後くらいは金を落としておこう…

 

次回に続きます。ありがとうございました。

 

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