あすなろ撮影録

大学生の備忘録的ななにかです

〈2/27 試せ北の大地-18〉別れはジンギスカンとともに

こんばんは。

ここまで来たらもうさっさと完遂しちゃいましょう。夕方手前、もうやれることも少なくなってきました。帰りの便まで何しましょうか。

前回の模様はこちらから。

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785系(NE-501) 〈1007M 特急すずらん7号 札幌〉

やたら天気が良かったので沿線に繰り出しまして、苗穂~白石のストレート区間へ。立ち位置がよく分からない…というより、嵩高く積もった雪で思うように構えられないというのが難しいところでした。

JR北海道初の電車特急として登場して30年ちょい、度々置き換えの話が出そうで出ないという日々を送っている785系です。737系の投入に伴いそこそこな時刻変更がなされる室蘭本線ですけど、この特急「すずらん」含めて動向が気になりますね。

 

苗穂駅の全面ガラス張りな自由通路より、苗穂運転所を眺めます。狙ったんじゃないかと思うほどバラエティに富んだ車両が散らばっています。

ところでお恥ずかしい話をしますと、実際のところキハ281系キハ283系の違いがよく分かっておりません。一応どちらも定期運用を離脱した経験を持ち、うち後者は「オホーツク」「大雪」で復活した、ということですかね。

いずれにせよ、道内気動車特急の大幅なスピードアップに貢献した立役者なわけでして、その恩恵は計り知れないものだったことでしょう。道東・道南方面も行かねばなりませんな。

 

なんやかんやで新千歳空港に帰ってきてしまいました。アクセス方法の代名詞とも言える快速「エアポート」、いつの間にか特別快速が登場し、いつの間にかUシートが840円に値上がりし、いつの間にかえきねっとに対応し…色々びっくり。

札幌~新千歳空港は連絡バスも走っていますが、値段はそこまで変わらない割には所要時間が倍近く掛かるそうです。バスは値段勝負というイメージがある以上、JR北海道も頑張っているのかもしれません。まあ千歳線ですら営業指数100超えなんですけど。

 

予定もよりも大分早く着いてしまったので空港内をうろついていると、なんとジンギスカンを食らえるお店を発見!いや、てっきり定食とかそういう系しか無いと思っていたんですが、ちゃんと専用鍋で自分で焼けるタイプでした。

松尾ジンギスカン滝川市発祥のブランドだそうで、札幌と東京にいくつかの店舗を構えています。「美味しい食べ方」なんかも教えて頂けて、サッポロクラシックとともに泣きながら(嘘です)楽しみました。

おひとり様でもちゃんと通して頂けたのがまず有難い。こういうのを気軽に楽しめるってのも、北海道が愛される理由の一つ…なのかも?

 

さて往路はLCCでお安いPeachで来ましたが、復路はあろうことかFSCの赤い鶴ことJALにお世話になります。実は高校生のときからJALマイラー(主にJMB WAON使い)でして、貯めまくることに力を入れすぎてまだ1度も消費したことがありませんでした。

主たる原因が、最寄りの中部国際空港発着のJALが異様に少ないこと。ここ以外には羽田・成田(コードシェア便も含めると福岡・高知)しかなく、中京圏マイラー修行するならば便数豊富なANAがおススメな気がします。

 

www.jal.co.jp

加えて、ちょっと話題になったのが2023年4月からの運賃制度変更です。マイレージ関連に限れば、特定航空券の購入に必要なマイル数の区分が大幅に変更、かつ変動制になり、総じて「使いにくくなった」だの「改悪」だの散々な言われようでした。

まあこのご時世ですから致し方ない事情もあることでしょう。セントレアからJALに乗りたきゃ北海道か東京かのほぼ2択、それでも不満なら頑張って大阪伊丹まで行きましょう。

 

なんか負のことしか書いてませんが、当の本人はワクワクしながら搭乗しております。まあ特定航空券の中でも「JALカード navi割引」で押さえたのでタダ以上のタダ乗り状態でしたからねえ~

JAL3118便はCTS19:20→21:10NGOと、帰るのに丁度良い時間帯だからかほぼ満席。機内サービスもさぞかし充実していたでしょうけど、旅の疲れとアルコールの酔いで見事に爆睡。目を開けたら既に着陸していました。え、もったいなっ…

 

某病院行きのバスに見送られながら、中部国際空港に帰ってきてしまいました。この後は電車で帰るつもりだったものの、たまたま地元の友達が近くにいたので一緒に乗せてってもらいましたとさ。

 

ということで長い長い〈試せ北の大地〉シリーズをお届けしました。キハ183系の追っかけと留萌線廃止区間の訪問を2大メインに、あっちゃこっちゃ巡ることができました。

北海道は旅人の心を擽る要素がわんさかあるにも関わらず、依然として厳しい事情を抱えています。そうそう頻繁に行けるものではありませんが、また機会を作っては出かけたいと思います。あ、できれば新規開拓を兼ねて新千歳以外で…

 

以上、3泊4日の北海道遠征でした。最後までご覧頂きありがとうございました。

 

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〈2/27 試せ北の大地-17〉在りし日の留萌線放浪記ー留萌

こんばんは。

やっとこさ最終回も見えてまいりました、この〈試せ北の大地〉シリーズ。藤山から路線バスに乗車しまして、留萌本線のかつての終着駅かつ本旅のゴール地点とも言える、留萌(るもい)に辿り着きました。

前回の模様はこちらから。

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留萌駅(北海道留萌市船場町)

開業:1910年

アイヌ語由来:ルルモッペ(汐が奥深く入る川)

乗車人員:35.2人(2021年度)

停車本数:上り7本(2022年度)

昨夜と今朝は真っ暗だったので、3回目の訪問にしてやっと明るい時間の留萌駅を観察することができました。廃線当時の駅舎は1967年に完成した2代目とのことで、文字がそれぞれ独立した駅名標とJRマークがその「昭和感」を漂わせます。

駅舎の2階には地元のラジオ局「エフエムもえる」が入居しているものの、いずれは取り壊したうえで新たな交流施設を建設する計画が出ています。さすが元・市の代表駅、中心的な役割を担うという使命は過去も未来も変わらなさそうですね。

 

駅舎内の一角にはちょっとした展示コーナーが設けられていました。恵比島の回で触れたSLすずらん号や留萠鉄道に関連するものが多かったような。恵比島から出ていた路線とは別に、ここ留萌から留萌港までを結ぶ「海岸線」が分岐していたんですね。

さらに、かつては宗谷線幌延に至る「国鉄羽幌線」や達布までを結ぶ「天塩炭礦鉄道」が分岐していた巨大なターミナル駅だったことを初めて知りました。

3社4路線が乗り入れていたのも遠い昔の話。2016年に留萌線の増毛方面が廃止され、2023年にはいよいよ留萌駅そのものもが過去帳入りに。ん~時代の流れという言葉で片づけていいものなんでしょうか。

 

展示コーナーの後方には、もはや名物となった「立喰そば」がありました。関西だしに馴染んでいる身からすると、濃いかつおつゆに甘辛いにしんが載った「にしんそば」がまあ新鮮のなんの。寒さの中の温かさもあって、美味しいんだなこれが。

廃止と同時にその去就も注目されましたが、なんと近くの道の駅「るもい」で再出発を果たしたそうな。駅弁も気になるところですし、今後とも変わらぬ味を提供し続けてほしいものです(となると今度は店主の体調が心配ですが…)。

 

駅の西側、国道231号からの光景です。ちょうどラッセル車が除雪作業をしていました。数本しか列車が来ないような場所でも適切な維持・管理を行ってくれる、言い換えれば行わなければならない、それもまた北海道の鉄路の厳しさを物語ります。

早朝から各駅を巡ってきたわけですけど、正直周りには何もない(あっても数軒程度の)、利用者お察しな小駅ばかりでした。それはそれで鉄道ファンの心を擽るわけですが、ここ終点だけはそれなりの規模の街が形成されている、いわば別格の駅なはず。

 

同じ場所で振り返ると、かつての増毛方面に繋がるトラス橋が現存していた

ちなみに留萌市の人口は道内32位(2022年)。前後の美唄市深川市とはほぼ僅差なので、街の規模を考えても鉄道「利用」を維持していくのはそう難しくはないような気がするんですが… まあこれもただのエゴでしょうね。

増毛駅舎のように観光資源として残される駅もあれば、更地に朽ち果てる駅もあることから、廃止後の動向も気になるところ。というか普通に留萌市内を観光できなかったので、いつかまた訪れる機会を作りたいです。

 

セイコーマート留萌錦町店でおやつを買い込んで(何買ったかは忘れました…)、近くの錦町停留場から路線バス「留萌旭川線」で深川十字街停留所まで乗車、そこから歩いて数分の深川(ふかがわ)にやってきました。

函館本線留萌本線が分岐する主要駅なんですが、特急が毎時1本来るのとは対照的に普通列車は3時間空く時間帯も。都市間輸送が旺盛なのは良いこととは言え、その道中はもはや一面銀世界…というのも北海道らしい話です。

 

深川駅(北海道深川市1条9丁目)

開業:1898年

アイヌ語由来:メム(清き水)・オオホナイ(深い川)

乗車人員:859.4人(2021年度)

停車本数(函館線):上り32本(うち普通8本)/下り33本(うち普通9本)

停車本数(留萌線):下り7本(2023年5月)

おお貴重な自動改札機がある…というのは冗談ですが、そこそこの利用者がいる証拠にもなりますな。ちょくちょく話題になる駅員さんからの熱いメッセージボードがこんなところにも、絵描き師は身近なところに潜んでいそうです。

何度も触れますが、現在残る深川~石狩沼田も2026年3月末に廃止されるため、名実ともに留萌本線が姿を消します。今回ですら盛大にセレモニーが行われたくらいですから、この時もさぞかし惜しまれることでしょう。

 

びっくりするくらいの快晴 白化粧した山が映える (特急車内から)

各駅を巡ってきましたが、高校生のような地元利用があっても維持できないというのが避けられない現実でした。そのことに気付きながら、かつ鉄道ファンとして「良さ」を発見しながら楽しめたと思います。

お疲れさまでしたなのか、ありがとうなのか、難しいところですけど、観光資源として存続するのならば引き続き応援していきたいですな。

 

札幌行き特急「ライラック」24号に乗り込みまして、次回がなんと最終回でございます。いや長かった…

今回はここまで。ありがとうございました。

〈2/27 試せ北の大地-16〉在りし日の留萌線放浪記ー藤山

こんばんは。

在りし日の留萌線放浪記、いよいよ最終章です。

前回の模様(恵比島)はこちらからどうぞ。

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本当ならば全駅巡りたいところですが、今日は最終日ということで行程をぶっ壊すわけにもいかず。札幌方面に戻るためにも、次が最後の訪問です。残された3駅からラスト1駅に選んだのは、留萌から2駅隣の藤山(ふじやま)でした。

ここで降り立ったのはなんと自分1人だけ。乗る方もおらず、廃線間近ながら「誰もいない駅」への訪問を果たしてしまいました。下り始発(ちなみにもうすぐ9時)だからひとまず留萌の窓口で用を済ませたいのかな?

 

藤山駅(北海道留萌市藤山町)

開業:1910年

アイヌ語由来…じゃないので後述

乗車人員:0.0人(2021年度)

停車本数:上り5本/下り6本(2022年度)

駅前広場に出て振り返ってみると、明らかに不自然な配置の駅舎が確認できました。元々は事務室と待合室を有する大きな木造駅舎でしたが、無人化された後に写真左側の事務室部分だけを綺麗さっぱり解体したようで。

包丁でまっすぐ切り落とされたような佇まいとなり、待合室としての機能のみを果たしていました。乗車人員がついに0人を叩き出してしまうほどの過疎っぷりながら、ダルマ駅舎に改造されずに耐え続けたという意味では、ある種の奇跡なのかも。

 

待合室はこんな感じ。普段から手入れされているのかホワイトバランスもびっくりなくらいに綺麗な白壁、除雪器具や駅ノートもばっちり完備。でも実は寄せ集めの建材で改修されたパッチワーク状態だというのだから不思議なもんです。

余談ですが、ここ藤山と隣の幌糠の間にはかつて桜庭(さくらば)駅があったそうな。1963年に仮乗降場として誕生し、JR化後に駅となったものの、1990年に廃止されるという短命さでした。同じような境遇に東幌糠(現・峠下~幌糠)もありますよ。

 

駅舎に向かって右手には、雪に埋もれた石碑が鎮座しています。「藤山開拓之碑」と刻まれている通り、実はここら一帯は藤山要吉(ようきち)が所有していた農場でして、その主の名が駅名として採用されたというわけです。

要吉は明治時代の実業家で、主に小樽での海運業を通じて北海道の産業振興に寄与しました。開拓の地をそれまでの海から内地へと移すべく選ばれたのが、現在の藤山駅周辺でした。

留萌市が誕生した際には地名としての「藤山町」が誕生し、彼の功績がますます称えられることに。小樽と留萌、実はこんなところで繋がってたんですね、しみじみ。

 

キハ150形(1) 〈4924D 普通 旭川

そんな事情を知ってか知らずか、函館線直通の旭川行きが雪を巻き上げながら爆走していきました。お隣の大和田と仲良く通過されるわけですが、そりゃあ駅前の様子を見たらこれは仕方ない。

歩いて数秒で国道233号という好立地条件ながら、集落は小規模なものなので利用者は皆無ということでしょうか。いやむしろこれがモータリゼーションの末路かな…

 

さて、沿線の駅巡りは一通り済ませたので最後にゴール地点へと向かいたいところ。本来ならば留萌線を使うべきですが、さすがに待ってられないので並行して走る路線バス(ここ大事)にお世話になります。

沿岸バス・道北バスが共同で運行する「留萌(旭川)線」は、沼田町街ではなく碧水(北竜町)を経由するものの、概ね留萌線に沿って停留所が設けられています。峠下のように少し離れた場所もあったり、ここ藤山は駅前すぐの場所にあったり、各駅訪問の際に重宝された方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

見てびっくり乗ってびっくり、リクライニングシートや電源が完備された高速タイプ車両でした。写真上部にちらっと映る押しボタンが証明する通り、れっきとした路線バスなんですけどねえ~

留萌線の部分廃止後、この路線と新設された特急「あさひかわ」号(高速バス、1日1往復)が代替路線となりました。乗合タクシーも拡充され、他の廃線区間と比べてもなかなか好待遇なような気がしますが、多額の補助金を以てしても赤字を出し続けるのが現状なんだとか。

 

明らかに不自然な線形と共に2ショット

似た境遇に夕張支線(2019年4月廃止)がありますが、夕鉄バスが2023年10月末で新夕張駅~新札幌駅を含む3路線を廃止することを発表し、ちょっと話題になりました。

使う人がいたとしても昨今のバス事情は厳しいというのに、使う人がいないとなるとその結末は想像に難くありません。良くも悪くも必要最低限のサービスを提供するためにも、今まさに「真の転換期」を迎えているのでしょう。

 

そんな考え事をしながら、この放浪の終着点へと向かいます。

次回に続きます。ありがとうございました。

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