あすなろ撮影録

大学生の備忘録的ななにかです

6/12 近鉄八王子線の末端を想う小旅

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こんばんは。

ちょっと前にTwitterで「JR京都線」がトレンド入りしました。東海道本線の愛称としてJR西日本が勝手につけたものなので、それを他社のJR東海が案内すべきかどうか…そんなところでしょうか。利便性か適切性か、現代に通用しそうな話題ですねえ。

戯言はこの辺にして本題へ。この日は四日市へ検定を受けに行ったんですが、せっかくの機会なので帰り道にとある遺構を見に行くことにしました。

 

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260系(U61) 〈1753 普通 西日野〉

近鉄四日市駅下の駐輪場でレンタサイクルを借りて、20分ほどで四日市あすなろう鉄道八王子線・西日野駅周辺までやってきました。線路沿いを走ってきたものの本数は15~30分に1本なので道中出会ったのはこれくらい…

最近ではJR四国2700系気動車の話題で知られる鉄道友の会ローレル賞」ですが、この新260系も2016年の第56回にて受賞しています。改造車と新造車の組み合わせではあるものの、確かに地方ローカル私鉄にしては高クオリティですな。

 

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現在は日永駅と西日野駅を結ぶたった1区間八王子線。「じゃあ八王子って何ぞや」って話ですが、それはかつてこの先の伊勢八王子駅まで線路が伸びていたことに由来します。

1912年に三重軌道が日永駅~八王子村駅(後の伊勢八王子駅)を開業させたのが始まりで、度重なる移管や合併で1965年には近鉄の路線となりました。しかし1974年の集中豪雨において、並行する天白川の水害をもろに受け一時不通に。1976年、西日野駅までは復旧したものの、その先の区間は採算性の問題もあって廃止となってしまいました。

 

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その復旧の際には西日野駅自体も移設されたようで、跡地はご覧のようなガードレールにへばりついた看板が教えてくれます。こんな感じで今回は近鉄八王子線廃線跡を巡ろうという魂胆でございます。タイトルでバレとるわとか言わないで。

現西日野(にしひの)駅周辺には中学校や高校があるため、朝夕は学生らでごった返します。つい最近に駅前広場の整備が完了したそうで、ロータリーやトイレ、駐輪場が設けられました。かつては無人駅らしい無造作な作りで、結構趣きがあったんですけどね。

 

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道なりに進むと三重交通の室山バス停…のそばにこれまた素っ気ない看板が。末期まで残った室山(むろやま)駅はこの辺にあったらしく、気持ち道幅が広いのはホームがあった名残でしょうか。ほんとに気持ち程度なのですが。

ちなみにここまでの間に四郷役場前駅(1912-1917)と清水橋駅(1931-1952?)が存在していたそうです。前者は近くに旧四郷村役場が郷土資料館として、後者も同じ名前の橋が現存しているので、興味がある方は訪れてみてはどうでしょうか。

気になる方はどうぞ。

四郷(よごう)郷土資料館 四郷ホームページ作成委員会 

http://yogou-mie.com/shiryo_kan/

 

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先ほどの通りから結構外れた場所に、160年以上続く「神楽酒造」がありまして、その一角にはかつて実際に使われていた駅名標が保存されています。後ろの木造酒蔵も相まって良い味出してます。

この辺り一帯は古くから酒造が盛んで、こういった建物がちょくちょくありました。どこかでお酢も作っているのか、あのツーンとした匂いも… 少しだけタイムスリップしたような気分に浸れました。

気になる方はどうぞ。(2回目)

伊勢の銘酒 神楽酒造 三重県四日市市 http://kagura1858.com/html/

 

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通りに戻りさらに進むと、この路線の由来でありかつての終点だった伊勢八王子(いせはちおうじ)駅を表す看板がお出迎え。本来はもうちょい先のようですが、現在はプレハブ小屋や月極駐車場などの私有地と化していました。

伊勢八王子駅の廃止後しばらくは三重交通バスの転回場として使用されていたそうで、小屋の裏側に書かれた「止まれ」の路面標示がその役目を物語っています。ちなみにバス転回場当時のベンチの上屋にはレールが使われていたそうです。

 

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そばには四日市市の境界線を示すプレートとともに、怪しげに出っ張った物体が。これは近鉄の境界杭でして、室山駅名標と並ぶ貴重な鉄道遺構の一つです。社章の刻印も入っているのですが、ちょうど塀に埋められて確認することは不可能です。なんか惜しい…

こんな感じで巡ってきましたが、現在は路線跡を三重交通バス(水沢(室山)線)が走っていますし、そもそも自転車で十分リカバリーできるような駅間だったので廃線待ったなしだったのかもしれませんね。

 

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返却時間が迫る中、途中駅の赤堀にて1枚。市内交通に徹する四日市あすなろう鉄道、まさに新型コロナウイルスの大打撃を受けた典型例の一つかもしれませんが、なんとか踏ん張ってもらいたいものです。また来ますから…

 

ということで近鉄八王子線末端跡を巡るチャリ旅でした。ありがとうございました。