あすなろ撮影録

大学生の備忘録的ななにかです

〈2/26 試せ北の大地-9〉富良野線を見守る赤い鳥居

こんばんは。

早いもので年度末、いかがお過ごしでしょうか。新生活・新学期ということで、慣れない部分もあるかと思いますが、そう気張らずにこなしていきたいところです。現実がそれを許してくれるかは別の話ですが。

 

「試せ北の大地」と銘打っときながらやっぱり試されてしまったシリーズ、旭川市内にて一泊したところでした。

前回の模様(2日目)はこちらから。

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3日目は富良野線から参ります。どうでもいいですが、富良野線は日曜・祝日(=休日)だけ時刻が違うようで、土曜は平日ダイヤになるようです。そのおかげか乗車予定だった始発(721D)がまさかの運休、1本遅い列車(723D)に乗ることになりましたとさ。

美瑛や富良野などの「夏に行きたくなるような」観光地を通る54.8km、全18駅の路線ですね。意外なのかそうでもないのか、昨今の存廃問題で発表された「JR単独では維持できない路線」のひとつでもあります。

で、こんな雪の中で観光しに来たわけではなく、富良野線にも2023年ダイヤ改正で変化がありまして。道内で増殖し続けるH100形電気式気動車が導入されたことで、写真のキハ150形やキハ54形が置き換えられました。

 

急勾配や積雪に強い冷房付き車両として平成初期に誕生したわけですが、車内は想像通りの2+1列セミクロスシート。どこぞの地方三セクかよ、と思うような配置がまた良いんですよ。旭川運転所の車両はラベンダー色の帯を巻いているのも特徴です。

で、先述の観光需要に加えて一応通勤・通学路線でもあるわけですが、駅間はご覧の通り雪原しかありません。道内じゃお馴染みの光景ですけど、これで1~2時間に1本確保するというのはもはや限界なのかもしれません…

 

西御料・西瑞穂・西神楽・西聖和のにっしー4兄弟を過ぎ、のほほーんと車窓を眺めていると、どえらい気になる建物を目撃。急遽その次の千代ヶ岡で降りることにしました。昨日の瑠辺蘂はともかく、まさかの自ら行程を崩壊させる暴挙に出やがったぞ…

千代に八千代に栄えることを願って命名された地名を冠する駅ですが、もう何も言わないことにします(別に特段過疎ってるわけじゃないよ)。保線作業員さんの詰所があるからなのか、無人駅でもきちんとストーブが稼働しているというのが地味に有難い。

 

さてここから2駅戻りたいわけですが、先述の休日運休の列車が2本も続くので次の旭川行き(726D)は約2時間後。しかもその列車には通過駅があるようで。

でも安心してください、並行して道北バスの路線が旭川~美瑛を結んでいますので、これにてワープすることができます。ついでに言えば、元々どこかで降りて1本撮影するつもりだったので、行程は「ギリギリ」崩壊していません。

 

まあバスが無かったとしてもすぐ隣にセコマ千代ヶ岡店があるんでねえ…

 

列車からは通路越しに西側を眺めていたので、バスでは東側を。これまた相も変わらず雪山かと思いきや、実は旭川空港が広がっているようです。先程の千代ヶ岡が徒歩での最寄駅で、約4kmの道のりで辿り着くことができます。

このバスもまた、富良野線の経営を苦しめる要因のひとつでしょう。にっしー4兄弟からお察しの通り、集落や団地からやや外れた場所に線路が通っているため、直接乗り入れるバスの方が便利なのかもしれません。

結節点になると使い勝手が良いものの、昨日の石北線と北海道北見バス然り、こうして並行して走っていると間隔が短いバスに軍配が上がることもあります。共存って、簡単に言えるようで実際は難しい問題なんだと実感しました。

 

そんなこんなで揺られること数分、西神楽に帰ってきました。かの昔は神楽町という自治体で、由来はアイヌ語で「ヘッチェウシ(=神々の遊ぶところ)」と何だか楽しそうな雰囲気。ちなみに東神楽町旭川空港所在地として現存しています。

やっぱりここも保線作業員さんの詰所がある関係か、ぬくぬく暖かいストーブ付き駅舎。自動券売機もあり、利用者は比較的多いようです。やっぱ運賃の安さと速さは鉄道のメリットですから。

 

ちょっと歩きまして、西神楽~西聖和(上り2本は通過)にあるのが、赤い鳥居が目立つ神楽神社です。アイヌ民族には「カムイ」という神(厳密には霊的存在)が存在しますが、明治時代以降の入植者によって建立された寺社仏閣もちゃんとあるんですよね。

これが珍しいというわけではないものの、神と神がひしめき合っている気がするのが何とも不思議。というかカムイが果たして神に相当するのか否か、そこから議論が分かれるところなので、別格として考えるのが筋なのかもしれません。

 

キハ150形(16)+キハ150形(10) 〈725D 普通 富良野

ということで、境内から失礼しまして鳥居とキハ150形の2ショットを。運良く苗穂色(萌黄+空)と旭川色(ラベンダー)の混結編成で来てくれたので、連結面を目立たせておきました。これも今や過去帳入りです。

旭川にいるキハ150形は0番台で、富良野線を離れた現在は石北本線留萌本線で走っているそうな。さらに苫小牧では100番台が活躍中ですが、こちらもH100形の投入によってじわりじわりとその場を狭めつつあります。

 

キハ150形+キハ150形 〈6724D 普通 旭川

「北海道のローカル気動車」と言えば、やっぱり国鉄型のキハ40系列が注目を集めがちですが、こちらも近代化やら低コスト化やら地味ながらJR北海道に貢献してきた車両です。お立ち寄りの際は、ぜひ合わせて狙ってみてはいかがでしょうか。

で、西神楽に戻ってきたらホームは足跡ひとつない積雪具合。まあこれが今日2本目の列車ですけど、ここも一応旭川市内ですからね。富良野線の現状も先述のような有様ですので、今度は観光ついでに乗り通したいものです。

 

次回に続きます。ありがとうございました。

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〈2/25 試せ北の大地-8〉いまこそ輝け!北のキハ183系

こんばんは。

今年のダイヤ改正で個人的に気になったのが、平日朝に設定された柘植発網干行き(5327M)。三重から滋賀・京都・大阪を通って兵庫のさらに西の方に行けてしまう、とんでもないロングラン列車です。乗り通す人いるんですかね…

 

さて本題へ。アクシデントに見舞われながらも石北本線をうろちょろし、始まりの地・北見に戻ってきました。

前回の様子はこちらから。

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北見駅1番線、特徴的な4つの前照灯、高速運転と耐雪を兼ね備えたエンジンを轟かせながら、キハ183系が滑り込んできました。今日1日お世話になったということでこの特急「オホーツク」4号に乗車しまして、本日の宿泊地である旭川を目指します。

北見~旭川は距離にして約180km、東京~静岡とほぼ一緒の距離を走るわけですが、通し(網走~札幌)で乗ると実に約370km、名古屋まで行けてしまうという遠さ。それもう新幹線使うレベルですよ、なんなら飛行機でもいいくらいです。

 

忘れかけているかもしれませんが、使用中の「ひがし北海道フリーパス」は特急の普通車自由席にも乗り放題です。ただ、今回は3時間ほどの長旅ですし、少なからずのJR北海道への貢献ということで指定席を押さえておきました。

で、その席というのがまさかの1号車17番A席。JR北海道では唯一となってしまった「客席から前面展望ができる」車両の、まさにその特等席を引き当てることができました。

…まあ、指定席券の発売開始日であるちょうど1か月前の10時を狙いまして、えきねっとで楽々取っただけなんですけどね。思いの外すんなり終わったセルフ10時打ちでした。

 

「いまこそ輝け!北の大地の183系」キャンペーンの第2弾として、1号車17番A・B席とそれまでは自由席だった4号車の2席を「かぶりつきシート」と命名し、指定席として発売するようになりました。

石北本線はその歴史的経緯から遠軽スイッチバックを行うため、前面・後面となる区間がそれぞれ存在することになります。C・D席の目の前は完全に壁でかぶりつくも何もないので、実質4席限定のお楽しみ席というわけですな。

 

で、実際に座り込んだ時の感想ですが、当然ながら夜間時は車内の光が反射するので、よーく目を凝らさないと自分の顔を前面展望することになります。しかも乗務員室の空間が挟まっているので、座り方にはちょっと工夫が必要です。

ただ、そこは腐ってもかぶりつき。安国での「大雪」3号との行き違いやエゾシカによる直前横断、そして僅かな灯りを頼りに暗闇を淡々と進んでいくその様子そのものが、他と代え難い貴重な体験であるように思えました。

 

1時間くらいで遠軽に到着しました。件の通り、進行方向が変わるため、乗務員さんの移動やら「前後のお客様とお話合い」やらの時間を兼ねて3分停まります。

元々は紋別を通って名寄へと至る名寄本線を主として現在の石北線が分岐する形だったようです。1989年に名寄本線が廃止されたことで、別に急勾配でも何でもない場所なのにスイッチバックが誕生してしまいました。

発車標の一番下の欄には「紋別・名寄方面」と書かれているでしょうけど、再び点灯することはありません。というかこれいつからあるんですかねえ。

 

進行方向を変えた「オホーツク」4号、自分の席に戻ると見違えるほどグレードアップされていました。北見→遠軽は先述のかぶりつきシートでしたが、ここで特急券を分割しまして遠軽旭川は2号車のグリーン車を指定しておきました。

というのも、後継となるキハ283系にはグリーン車が存在しないため、「石北線特急のグリーン車」というのも完全に消滅したんですよね。どうせここから先は後面展望(下手すりゃただの最後尾席)ですし、乗り納めついでに移動してきました。

 

キハ183系グリーン車の最大の特徴、それはやっぱり「ハイデッカー構造」でしょう。元は特急「北斗」で使われていたキロ182形500番台を持ってくる形で2018年から組み込まれたようです。

座席も重厚感ある、かつ機能的な造りで、リクライニングを倒しながら曲面窓を見上げるとより一層の優越感に浸れます。頑張ったら北斗七星見えねえかな。

 

ここで3度目のセコマ紹介を。北見駅前店では簡単な夕食を調達したのですが、とくに興味があったのが「サッポロクラシック」と「京極の名水」です。

前者はもうこれ以上語ることはない(誉め)として、後者は羊蹄山の麓で採れた超軟水とのこと。他のPB商品の原料として使われるほど、馴染み深い商品なんだとか。ちなみに京極とは倶知安町の東に位置する京極町(きょうごくちょう)のことです。

 

デッキに来てみると、これまたキハ183系の栄華を忍ばせる設備が。というかさっきまでの暖色系とは打って変わって、えらい寒色系なことで…

カーテンに閉ざされた車販準備室と、誰が座んねんとツッコみたくなる補助席。いや、かつての寝台特急には必ず設置されていたらしいので、その当時の想いを馳せるためのマストアイテムでしょうか。

1979年に試作車が誕生、さらに1986年から本格運用が開始されてから約40年。過酷な環境の中、北の大地を走り抜けてきたその姿は、やっぱり心を打たれるものがありますね。最後の最後に乗ることができて良かったです。

 

列車は定刻通りに旭川に辿り着きました。ここからさらに函館本線を進むわけですが、網走から乗り通すと相当な長旅になるのはもはや自明。これでも上には上を行く特急がいるのだからまあ驚きです。

旭川市と言えば札幌市に次ぐ道内第2の都市、というイメージがありますが、その名は市内を流れる忠別川アイヌ語「チュプペ(太陽の川=日が昇る川)」を、日本らしく「旭川」と当て字したことに由来するそうな。ここに来て倭国蝦夷のハイブリットだとは…

 

本日のお宿は「ホテルメイツ旭川」、駅チカながらお手頃価格で泊まることができました。そして道中に何食わぬ顔で鎮座していたセコマ(ルートイングランド旭川店)で入手したのが、これまた北海道限定の「やきそば弁当」です。

四角いカップ容器が弁当箱を連想させる…え、あ、そういうことか。なんか腑に落ちんなあ…とりあえず中華スープ飲んでみっか…うわしょっぱっ。でも逆に美味い、なんか知らんけどソースと塩辛さが合う!!!背徳感も味わえて最高じゃねえか!!!

 

道産子の塩分過多に一抹の不安を覚えたところで、2日目は終了です。

次回からは3日目。どこへ行くのやら、ご期待ください。

ありがとうございました。

 

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〈2/25 試せ北の大地-7〉空港アクセス秘境駅のすゝめ

こんばんは。

早速ですが、本題へ。前回は留辺蘂近辺で旭川行きの「大雪」4号を狙いまして、次は網走行きの1号を待ち構えます。本来の行程であれば遠軽の隣の瀬戸瀬で離合を撮ろうと思っていたのですが、乗り遅れたというのは前々回のお話です。

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時刻は14時頃で、本日のお宿(今回はちゃんとホテルです(;^ω^))への移動を考えると18時頃に北見駅に戻りたいところ。諸々を考慮した結果、留辺蘂~網走のどこかで沿線撮りするのが吉と踏みました。

留辺蘂から乗車する網走行き(4663D)は後続の「大雪」1号よりも先に網走へ到着しますし、その折り返しの留辺蘂行き(4670D)に乗れば程良い時間に北見に帰ってこれるようです。不幸中の幸い、なんとか今日の行程に目途が立ちました。

 

ということで、本日最後の目的地として選んだのは西女満別(にしめまんべつ)でございます。両隣は特急停車駅なのに2022年度の秘境駅ランキングで第56位に食い込んでいる、色々と魅惑な場所です。

周囲は雑木林に覆われていて、まさに秘境といった雰囲気。ただ、少し離れたところに民家と国道39号が存在するらしく、同業者と思わしき方の他に高校生も下車、しかも駅前には送迎と思わしき車(お母さんかな?)が停まっていたので少なからずの日常利用はあるようです。

 

そして何よりもこの駅が有名な理由は、この向こう側に女満別空港が広がっているからでしょう。直線距離で約800mとほぼ最寄も同然ながら、直接はアプローチできないので迂回路を20分ほど歩かされるという絶妙な不便さも、この駅の魅力です。

その至近距離を活かしてなのか、過去にはDMV(デュアル・モード・ビークル)の実用化を目指して、北見駅~西女満別駅~女満別空港で試験走行が行われたこともあります。

今でこそ四国の阿佐海岸鉄道でデビューしていますけど、こんなところでも夢みたいな話が持ち上がっていたとは。あったらあったで便利そうなんですけどね。

 

駅舎みたいな小屋のうち、半分は保線用だと思われるスペースでしたので、旅客が立ち入れる領域は大分限られます。それでも雨風雪を凌ぐには十分ですし、有志よる駅ノートや文庫本が設置されているので飽きることはありませんでした。

モニター機器みたいな装置が唸る音が聴こえてきましたが、それ以外はまあ静か。というか駅ノートを読むと「女満別空港から歩いてきたor今から向かう」という方が結構いたのが少々驚き。なんやかんやでアクセス方法として認識されているようです。

 

キハ183系 〈6081D 特急大雪1号 網走〉

駅前のオーバーパスから網走へと駆け抜ける「大雪」を。良い感じにカーブしてくれてますし、雪煙も申し分無しですし、個人的には数あるキハ183系カットの中で一番お気に入りだったりします。

にしても国鉄型なのによくもまあ雪の中をぶっ飛ばせるもんですねえ。加えて高速運転を行うためにエンジンの出力を上げに上げるという、もはや無茶とも言える強化をしれかすというね。さすがにトラブルが相次いだのは言うまでもないものの、キハ183系のポテンシャルが垣間見えた瞬間でもありました。

遠く離れた九州には1000番台「あそぼーい!」がいますけど、そっちはそっちでまた別の良さがあります。「北のキハ183系」と表現されるほどには、やはり唯一無二である所以があるということでしょう。

 

ついでに後追いも。停車目標とミラーのおかげで辛うじて駅があることが認識できるレベルですが、ここまで雪に埋もれてしまうとやっぱり秘境駅なのかもしれません。

乗り遅れによる悲劇が生み出した来訪でしたが、結果的には大満足な1時間ちょいの滞在でした。本数が少ない北海道でも何とかなるもんですね、皆さんもあえて乗車列車をずらしてみては?(ただし自己責任で…)

 

網走で折り返てきた留辺蘂行きに乗車。そういや一緒に降り立った同業者の方は乗車されませんでしたが、もしかして空港へと向かったんですかね。ロマンあるなあ。

隣の美幌では旧国鉄色の1759号車とすれ違い。元々は釧路にいたところを、2022年3月のダイヤ改正でH100形と置き換わる形で旭川へと転属してきたそうな。国鉄型が徐々に活躍の幅を狭めつつあるのも、紛れもない事実です。

 

そのまま北見まで乗車しまして、いよいよこの日のメインディッシュへと参ります。

次回に続きます。ありがとうございました。

 

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