こんばんは。
今日は七夕…というか雨ですね。ここ例年雨ばかりなような気がしたので調べたところ、2020年も2019年も夕方以降は雨でした。天の川もへったくれもありませんが、一部地域では1年越しに会えたことを喜んだ2人の涙が「催涙雨」となって降り注いでいるという考え方もあるんだとか。いやもう天気なんてどうでもいいやん…
さて本題へ。211系10連なりCL6連なりを撮りながら、高蔵寺に戻ってきました。JRと愛知環状鉄道が乗り入れるニュータウンの玄関口ですが、実はもう一路線(?)乗り入れていることをご存じでしょうか。
前回はこちらから。
ここからは世にも珍しい「ガイドウェイバス」で運行される「ゆとりーとライン」に乗車していきます。郊外では一般道路を、都市部ではガイドレールを装備した専用軌道を走行するという、バスと鉄道の良いところを取ったような乗り物ということですね。
運行主体は名古屋ガイドウェイバスですが、そもそも名古屋市営バスの代替路線という側面もあるため、全便において名古屋市交通局が運転業務に当たっています。かつては名鉄バスやジェイアール東海バスも担当していたそうな。
路線名については、渋滞の影響を受けない専用軌道を使うことで定時性が期待でき、その「ゆとり」と「ストリート」を掛け合わせたとのこと。
高蔵寺を出発し、しばらくは普通の路線バスのように平面区間を走ります。そして途中の小幡緑地(おばたりょくち)には「モードインターチェンジ」が設けられ、ここで高架区間を走るための設備準備がなされるわけです。もちろん一般車両は進入禁止なので、バス通過時以外は遮断器で閉鎖されています。
ここからがこの路線の見どころで、車両の前後輪そばに取り付けられた案内装置がレールに沿ってスライドするように走ります。原理的にはトロリーバスのような、でも全く違うという、やっぱり世にも珍しい「新交通システム」というわけですね。
高架区間での乗務員によるハンドル操作は不要で、速度調節と安全確認による運転を行います。また停留所ではなく駅になるため、「コンコース」や「無人駅」、「乗り換え路線」という概念が生まれてきます。
標識・駅接近時の指差喚呼といい、乗客の有無に関わらず必ずドアを開閉する様子といい、さすがに完全なバスとは呼べなくなってしまいました。先述の通りトロリーバスに通ずる部分もあるため、乗務員は大型二種免許と無軌条電車運転免許を有しています。
乗務員の仕事っぷりもなかなか見応えがありますが、外に目を向けるとまあ景色が良いことで。最高時速は60km/hなので高速道路並みの爽快感は保障できないものの、どっからどう見ても路線バスな車両が開けた視界の中を進むのは楽しいものがありました。
守山区の志段味地区は地形の制約から交通渋滞が激しく、公共交通機関を設けようにも地下鉄やリニモだと過剰、ただのバスだと不足という課題がありました。それを解決するために2001年3月に開業したのがゆとりーとラインというわけですな。
各駅で徐々に乗客が増え、立ち客も出るほどに。地下鉄名城線と接続する砂田橋、ナゴヤドーム前矢田で少々降ろしつつ終点の大曽根に到着しました。これはプラットホームと言うんでしょうか、何かアトラクションの搭乗口みたい…ハイテンションで「いってらっしゃ~い!!!」とか言われても違和感ねえよ…
ちなみに名古屋市営バスといえば各停留所の時刻表に「営業係数(100円稼ぐのにかかる費用)」が記載されていることが特徴的ですが、このゆとりーとライン全体では2019(令和元年)度で123とのこと。やや赤字といったところですが、即廃止レベルではない(というか市営なのでそんなことしたら末期)のでこれからも奮闘してもらいたいですな。
そういや車両の紹介を忘れていました。ほとんどがGB-2110型気動車で運転されており、機器類の関係でツーステップ(車いす等はリフトで対応)というあまり優しくない仕様です。ディーゼルエンジンで走るので電車ではなく気動車扱いとなり、厳密に言えば「無軌条気動車」ということになります。
ゆとりーとラインは前々から乗ってみたいと思っていたので、偶然にも高蔵寺発着便があることに気づいたときは驚きました。今のところ日本で唯一ですし、ギリ「鉄道」と言えなくもないので、よければ乗りにいらしてみてはいかがでしょうか?
ということで次回に続きます。ありがとうございました。